これが中国特有の「人民戦争」戦術です。
「人民戦争」という言葉は聞き慣れないかもしれませんが、毛沢東が定理化したもので、正規軍だけが戦うのではなく、「人民を組織し、人民に依拠して戦う」という戦争のやり方です。
なんのこっちゃと思われるでしょうが、今の全世界でISが仕掛けているテロを思い出して下さい。
ISには正規軍もいますが、それ以上に私服を着て一般市民のような顔をしたテロリストがいきなり爆弾を投げたり、機関銃を乱射しますね。
それも政府や軍の施設ではなく、一般市民の生活の場でそれをやります。
パリ同時テロやバングラディシュのテロなどが典型ですが、あのような世界中のテロリストの教典を作った教祖が、実はこの毛沢東という男です。
中国は軍が近代化するに従って、人民戦争戦術からだんだん離れて行くようになりましたが、どっこいゴリゴリの毛沢東主義者を自認する習近平は、この人民戦争戦術を手放そうとはしていません。
まずは、現在の21世紀初頭という時期を中国はどう捉えているのか知っておきましょう。
参考になるのは、毛沢東の「持久戦論」です。
「持久戦論」は戦争を三段階に分けています。
第一段階は、圧倒的に近代化が進んだ日本に対して、経済的にも遅れて、軍事的にも弱かった頃の時期で、これを「戦略的防御」の時期と考えました。
そして第二段階は、ホントかウソか知りませんが、とにもかくにも世界第2位の経済大国になり、ジャブジャブと軍備に金をかけられる段階に到達したただ今現在、と中国は認識しています。
しかし、日本やその同盟国の米国相手に戦って必ず勝つという確信まではありません。
ですから、この時期を「戦略的対峙」の時期とします。
ちなみに、この第2段階で、彼我の力関係を逆転すると第3段階の「戦略的的反攻」時期になります。
それぇ、行けぇ、という大号令がかかるというわけです。
現在の戦略的対峙の時期には、敵が最も危険だと感じているところや、弱いところに向けて行動を起こし、敵を弱体化し牽制します。
つまり鼻面をかき回して苛立たせるのです。
先日ご紹介した毛沢東語録がいう、「 敵進我退、敵駐我攪、敵疲我打、敵退我追(敵が進めば退き. 敵が止まれば撹乱し. 敵が疲れれば攻め. 敵が退りぞけば追撃する)」のうちの「敵駐我攪」の時期です。
この第2段階の時期のキモは、大きい力を集中して敵の小さい部分を攻撃することです。
尖閣海域侵攻の場合は、圧倒的多数の漁船を集めて、それを護衛させる形で海警を大量投入します。
つまり中国流にいえば大量の民間漁船という「人民の海」に紛れ込んで、彼らを侵攻させ、日本の弱点を叩くという仕掛けです。
もちろん、この漁船に乗っているのはただの漁師ではありません。
「今回も漁船に乗り込んでいるのは「射撃などの軍事訓練を受けた漁民」(中国軍事研究者)で、中国当局や軍の意を受けて動く民兵の一種とみられる。」(産経 同)
この漁民に似せた中国の民兵のことを、中国は「海上民兵」と呼んでいます。
これは陸軍の民兵の海上版です。
引用以上
日本としては、中華人民共和国の「戦略的的反抗」を何としても阻止しないといけないと思います。230隻もの「漁船」が尖閣諸島の排他的経済水域に出没する現況の意味を、日本人全てが認識して欲しいと思います。
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