告 発 状
東京地方検察庁 検事正殿 平成28年10月25日
告発人
○○○○
被告発人
兵庫在日外国人人権協会 孫敏男(自治労川西市職員労働組合)
兵庫在日韓国朝鮮人教育を考える会 藤川正夫(元教員、元兵庫高等学校教職員職員組合)
第一 告発の趣旨
被告発人の以下の行為は、以下の罪名に該当し、看過できないので、厳重に処罰されたく、ここに告発する。
第二 告発の罪名
刑法第81条 外患誘致罪
第三 告発の事実と経緯
現状、韓国との竹島問題、北朝鮮との拉致問題や核ミサイル実験問題、そして中国との尖閣問題等は法の定める有事にあたる事態であるのは国民等しく認めるところである。
2016年10月11日、韓国・聯合ニュースなどによると、韓国軍が18年から鬱陵(ウルルン)島に中・大隊以上の海兵隊部隊を巡回配置する計画を明らかにした。
韓国海兵隊司令部は同日、国会国防委員会に提出した業務報告資料において、「巡回方式で鬱陵島に兵力を配置し、攻勢的な部隊運用のための与件を整える」との方針を明らかにした。来年から現地訓練場と宿営施設の建設工事を始めるという。
配置される海兵隊部隊は上陸突撃装甲車を含む基本的な戦闘装備を備え、北朝鮮に対する警戒や圧力を強めるほか、作戦領域として鬱陵島の東方約90キロにある竹島を念頭に置く見込みだ。韓国メディアは、「外部勢力が独島(日本名:竹島)に侵攻する兆候がみられた場合、鬱陵島の海兵隊が独島に上陸し防衛することになる」と伝えている。
このような事態に対応するため、日本国憲法では刑法で外患罪が定められている。
この適用と運用についてはすでに国会において以下のように見解が示されている。
第183回国会
衆議院 法務委員会 第15号
平成25年5月29日
稲田政府参考人(法務省刑事局長)
今の点につきまして、私の方から、まず解釈につきまして若干御説明させていただきたいんです。
今御指摘のありました外患誘致罪における「日本国に対し武力を行使させた」ということの意義そのものにつきましては、これも一般に言われているところでございますが、我が国に対して壊滅的打撃を与えた場合に限らず、例えば我が国の領土の一部に外国の軍隊を不法に侵入させたときもこれに当たるというふうに解されているところでございます。
その上で、今御指摘のような話につきましても、外国との通謀があって、しかし武力行使に至らなかった場合でありますとか、さらには、外国との通謀を開始いたしましたが合意に達せず、通謀自体が未完成な場合であっても、それは外患誘致罪の未遂犯として処罰の対象となると解されているところでございます。
先ほど委員御指摘もございましたように、この罪につきましては、予備罪、陰謀罪もございますので、ただいま申しました未遂に至らないような予備、陰謀の段階でも処罰の対象となっているというところでございまして、重大な打撃を我が国に与えた後でなければ罪を問うことができないというものではないというものであるというふうに考えております。(引用終わり)
日本国憲法における外患罪は対外存立法である。その法意はいかなる事態においても国家の存立と国民の安全と平和を守るというところにある。この法の施行に際しては、自由、人権その他が制限されることがあるし、特に紛争相手国や関係国については、国益上、反日行為は厳しく罰せられる。
紛争相手国や関係国国民への生活保護その他の援助や補助金についても明らかな利敵行為として停止されるのは当然のことである。
それに公然と反対する行為はまさに明らかな反国家、売国行為であり、以下の行為を外患誘致罪をもって告発することにしたものである。
第34回兵庫自治研集会
第11分科会 地域から考える「人種」「平和」
教員採用試験に合格しても、外国籍者は「教諭」にはなれず「期限を附さない常勤講師」にしかなれない。校長・教頭にもなれず、経験を積んでも主任にさえなれない。この問題には、地方公務員の国籍条項の問題と共通する「当然の法理」の壁が存在する。
2008年4月、神戸市立中学校の職員会議で、外国籍教員が「副主任もダメ」との判断で降格させられた。このことを契機にした外国籍教員任用差別問題への取り組みを報告する。
公教育における外国籍教員の任用差別と「日弁連」勧告
外国籍教員人権侵害事件への取り組み
兵庫県本部/兵庫在日外国人人権協会 孫 敏男(自治労川西市職員労働組合)
兵庫在日韓国朝鮮人教育を考える会 藤川 正夫(元教員、元兵庫高等学校教職員職員組合
1. はじめに
2. 事件の概要
3. 外国籍教員の差別任用について
(1) 在日外国人は、国家公務員・地方公務員及び公立学校教員から排除
(2) 「日韓法的地位協定に基づく協議の結果に関する覚書
(3) 外国籍教員の採用状況
4. 神戸市教育委員会の姿勢と私たちの取り組み
(1) 神戸市教育委員会の姿勢
神戸市教委が外国籍教員を副主任職に就けない判断し校長に伝え、校長は当該教員の副主任から外し、また、職員会議で、全職員にその年度の分掌表の当該教員の6箇所の名前を消させたという行為は、極めて残酷な人権侵害である。
私たち(兵庫在日外国人人権協会と兵庫在日韓国朝鮮人教育を考える会)は、この人権侵害に対し、神戸市教委に抗議し、事実確認の場を設けるよう申し入れた。
しかし、神戸市教委は、「校内組織(校務分掌)の名前を消させた事実はない」とし、その上、事実確認の場をも拒否した。神戸市教委は私たちの要求を一切突っ撥ね、時間だけが流れた。風化を狙う姿勢であった(事実、いまや、管理職の異動、教職員課の異動で、当時のことを知るものはいない)。
そのため、私たちは、二つの取り組みを行った。一つは訪韓行動であった。もう一つは、日弁連への人権救済申し立てである。
(2) 訪韓行動 ―― 韓国国会での記者会見
外国籍教員の任用差別の出発点は、「覚書」に発する。韓国政府は、「この任用差別を認めているのか」、認めていなければ、毎年行われる日韓アジア局長会議で「改善の申し入れをしていただきたい」という思いで、これを伝える目的で訪韓した。
韓国の民主労働党の李正姫議員やNPO組織のKIN(同胞連帯)の支援を得て韓国国会内で記者会見を実現した。記者会見では「日本政府は民主主義の原則も、国際条約や国内法も踏みにじって、『当然の法理』という単なる法制局長の意見に従い、在日韓国人教員を『二級教員』扱いとし任用差別している」ことを報告した。全国紙「ハンギョレ新聞」は社会面トップで報道し、「聯合通信」と「汝矣島(ヨイド)通信」の二つの通信社が地方紙等に配信した。また、民放キー局のMBCテレビが全国ニュースで流した。そして、新しい報道機関として大きな役割を果たしているインターネット新聞の数社も記事を報道した。
日教組と連帯する韓国全国教職員労働組合(全教組)は初の女性委員長となった鄭鎮和委員長が私たちの問題に関心を向け、全教組中央の三役が私たちと懇談した。在ソウル日本大使館への抗議、韓国政府への働きかけなど出来るだけの支援をするとの約束をしてくれた。また、全教組機関紙「教育の希望」(10万部発行)が大きく取り上げた。
このような私たちの訪韓行動が、韓国政府を動かした。第17回在日韓国人の法的地位及び待遇に関する日韓局長級協議が、2009年3月24日に東京で開催された(韓国側は趙泰永北東アジア局長、日本は斎木昭隆アジア大洋州局長がそれぞれ首席代表)。毎日新聞は、「韓国政府は24日、東京であった日韓のアジア太平洋局長会議で、公立学校で、在日韓国人教員が管理職への道を閉ざされていることについて、日本政府に制度改善などを申し入れた。
日本側は『在日韓国人が教員採用されるよう地方自治体などに働きかけている』と従来の立場を説明した。韓国外交通商部は毎日新聞の取材に対して『国際人権規約は勤務期間、能力の理由を除き、昇任機会は均等でなければいけないとしている。今後も日本政府を説得したい』と話した。(2009年3月25日毎日新聞)」と報道した。私たちの取り組みがこのような成果を上げた。
韓国政府は、議事録を公開しており、それをみると、「(1)わが側は、在日韓国人の地方公務員および公立学校教員時に国籍条項撤廃と任用後の昇進・補職において差別撤廃のために日本側が積極的に協力(原文は「協助」)してくれることを要請した。特に、管理職教員としての任用が制限されている現行の制度の改善の必要性を提起した。(2)日本側は自治体に対して指導などを通じて在日韓国人の地方公務員採用の拡大などに中央政府としての次元から努力しているとして、民族教育関連の放課後の学習・就学案内書の発送など合意覚書の内容を忠実に履行していると説明した」と書かれてある。
(3) 日本弁護士連合会に人権救済申立
神戸市教委に事実確認を求めてきたが、神戸市教委は校長・教頭・教務主任の出席のもとでの確認会を頑なに拒み、事実確認がなされず、時間だけが経過した。人事異動等で当事者を配置換えし事件の風化をはかろうとする神戸市教委に対して、これまでとは異なるステージでの事実究明が必要であると認識し、神戸の外国籍及び外国にルーツをもつ4人の弁護士の支援を受け、日弁連へ人権救済申し立てをする道を選択した。そのなかの一人である梁英子弁護士は、弁護士会から神戸家庭裁判所の家事調停委員に推薦されながら、「調停委員は公権力の行使にたずさわる公務員にあたる」として任用を拒否されており、自らも、当該の外国籍教員と同様の「当然の法理」の壁を前に思いを共有する者であった。
2009年1月28日に、日本弁護士連合会に人権救済申し立てを行ったが、神戸の白承豪弁護士を主任代理人に、全国71人の弁護士が代理人に名を連ねた。
5. 日本弁護士連合会の勧告
(1) 「勧告書」の内容
人権救済を申請後、1年の予備審査、その後2年に及ぶ本調査を経て出された「勧告」である。日弁連が「警告」、「勧告」、「要望」といった判断を下すこと自体が年に数件であり、「勧告」という重い見解(法的な強制力はないが)を下したということは、文科省や神戸市教委の判断に重大な人権侵害があることを認めるものである(「警告」が発せられるのは人命に関わる等の緊急性がある場合とのことである)。
「勧告」の内容は、文科省に対して、「憲法14条(法の下の平等)に反する在日韓国人等の外国籍の公立の中学校、高等学校の教員に対する不合理な差別的取り扱つかいであり、また、公立小中学校、高等学校の教員になるとする在日韓国人等の外国籍者の憲法22条が保障する職業選択の自由を侵害するものであるとし、「『教諭』ではなく、『任用の期限を附さない常勤講師』とすべきとする部分を取り消すこと」、「外国籍者でも校長を含む管理職に登用するに支障はない」としている。
神戸市教委に対しては、「合理的理由なく副主任の任命を取り消させるという差別的取扱いを生じさせたものであるから、貴委員会の対応は人権侵害に該当する」と断言し、「在日韓国人など日本国籍を有しないものについても『教諭』として任用し、「適性あるものについては校長、教頭、学年主任、教務主任等の管理職者として採用すること」としている。
(2) 人権擁護委員会の事実認定
勧告では、人権侵害行為を行った中学校長に対して不問としたが、人権擁護委員会の調査書では、「双方の言い分にニュアンスの違いがあるものの、大きな食い違いはない」とし、次のように事実を認定している。
……2008年4月3日の職員会議において……同校教頭であるA氏と同教務主任であるB氏が、全職員に対して、配布された「校内組織」中、第2学年の副主任として記載された申立人の名前及び人権教育推進委員会、体育大会実行委員会、進路指導委員会など、各種委員会の委員として記載された8か所の申立人の名前のうち6か所の記載を削除するように指示した。
残念ながら、勧告においては不問としながらも、調査報告書は、中学校長に対しては、「常勤講師問題について理解」がないことは「問題がある」が、「人権侵害とまで認定することはできない」としている。しかし、「外国籍を理由とするもので…これによって受ける疎外感あるいは屈辱感は容易に察知できるとし、「(当該教員の)心情に対する配慮を欠いた行為であったことは否定できない」としている。
学校長は「無知」であったので免罪との判断であるが、校長が配下の教員の任用形態を知らなかったことを単なる「無知」で済ますことができるのか。これでは管理職は失格であるといえる。
そもそも、当該校長が教頭と教務主任と口裏を会わせ、神戸市教委へ「名前を消させた事実はない」との虚偽報告をしたこと。神戸市教委はその弁を庇い、私たちが求めた確認を拒否したこと。これが、私たちを日弁連への申し立てに向かわせた端緒であった。この点をしっかり事実認定していただいたことに感謝する。
6. これからの取り組み
私たちの二つの取り組みは大きな成果を生み出した。訪韓行動は、韓国政府を動かし、定期的に行なわれる日韓のアジア太平洋局長会議で、公立学校での在日韓国人教員の任用差別を取り上げ、国際人権規約違反であると主張した。また、日弁連への人権救済申し立ては、法理論の側面から任用差別の撤廃を求めるものであり、政府を内外から突き動かす圧力を形成することができた。
私たちの市民運動がここまでの成果を上げた。しかし、次のステージは、民主勢力、労働運動等の支援をなくしては進まない。
当該外国籍教員は、日教組に繋がる教職員組合の構成員であり、分会長も経験し、組合本部の人権教育推進のメンバーとして活動してきている。教職員組合も、外国籍教員の任用差別の問題を闘争課題の重点項目に挙げている。今後、全国の仲間と、国際連帯、多文化・多民族共生の観点で、この問題を教職員組合の運動としてたたかっていく体制を作っていく必要がある。
兵庫県選出の水岡俊一議員とは情報を交換してきてはいるが、他の日政連議員ともパイプを太くし、院内学習会等を開催し、文科省に圧力をかけるなど外国籍教員任用差別を解決していきたい。
兵庫県教委や神戸市教委とも、県会議員や市会議員とのパイプを太くし、粘り強く交渉し、実利を上げる取り組みを追求していきたいと思う。
魚拓
https://web.archive.org/web/20161016005312/http://www.jichiro.gr.jp/jichiken_kako/report/rep_hyogo34/11/1110_jre/ ( 以上)
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